Plants for essential oils

D’Alenguadianaの精油になるグアディアナ渓谷自然公園に自生する植物たちをご紹介します

イベリア半島原産の品種がほとんどで、乾燥した大地で力強く生きる生命力が備わっています

シスタス

学名 Cistus ladaniferus

別名 ロックローズ、シスト、ラブダナム、ガムロックローズ、 Esteva(葡名)

ハンニチバナ科で、地中海沿岸の西部が原産、特にポルトガルとスペインの山間部に多く分布しています

常緑小低木で、春先に咲く花は、真っ白な花びらに赤い斑点と中心部には黄色いおしべとめしべがあり、とても綺麗なコントラストです

乾燥した不毛な大地を修復するパイオニアとして知られるシスタスは、グアディアナ渓谷自然公園の大地を乾燥から守る重要な役割を果たしています

植物全体が粘性のある香り豊かな樹脂に覆われており、古くから香料として重宝されてきました。溶剤抽出したもの(アブソリュート)をラブダナムとも呼び、香水の原料に使用されています

D’Alengiadianaの精油は水蒸気蒸留法で抽出しており、ほんの数量しか抽出できないため、希少価値が高い精油です

ムスクに似た特徴的な甘みのある深い香りが長く続きます

抽出部位 葉、枝

主要な成分  α-ピネン(35-45%)、カンフェン(-10%)、酢酸ボルニル、トリメチルシクロヘキサン、ビリジフロロール など

ヘリクリサム ストエカス

学名 Helichrysum stoechas

別名 カレープラント、everlasting flower、 Mediterranean Strawflower、Marcela(葡名)

Helichrysum(ヘリクリサム属)はキク科の中でも、約500種類ある大きな属のひとつです

ヨーロッパやアジア、アフリカに広く分布する低木で、その花は永遠の花(everlasting, eternal flowers, Immortelle)として知られ、ドライフラワーにしても色と香りが続くことから、フラワーアレンジメントにも人気があります

精油の世界でヘリクリサムやイモーテルというと、H. italicumが有名ですが、D’Alenguadianaの精油は、H. stoechas 種のヘリクリサムから抽出したものです

葉や茎を擦るとカレーのような香りがすることから、カレープラント(curry plant)という別名もあります (H.italicumも同様に呼ばれています)

H.stoechasは常緑の亜低木で、南ヨーロッパから北アフリカにかけての地中海沿岸地域を原産とし、ポルトガルやスペインの乾燥した大地に自生しています

茎と葉は棉毛に覆われており、銀白色に見えます

多くの昆虫が好んで集まってくるので、ラベンダーの収穫時とは対照的です

抽出部位 葉、花 (全草)

主な成分 α-ピネン(80%)、リモネン(10%) など

ラベンダー luisieri

学名 lavandula stoechas subsp. luisieri

別名 スパニッシュラベンダー*、フレンチラベンダー*、バタフライラベンダー*、Rosmaninho, Rosmaninho-menor (葡名)

L.luisieriはイベリア半島の固有種で、特に乾燥しているポルトガル南部や南スペインで見ることができます

薄紫の可愛らしい苞葉が花穂の頂点についており、蜂が花穂についている無数の小さな花の蜜を吸いにやってきます

L.pedunculataよりも花柄が短い(約0-3cm)ことが特徴です

ポルトガルの民間療法では花穂や植物全体を煎じたものを、血流改善や胸やけ・船酔いに使うこともあるそうです(注1)

抽出部位 葉、花(全草)

主な成分 Trans-α-necrodyl acetate(25%)、1,8-シネオール(20%)、Trans-α-necrodyl、Lavandulyl acetate など

ラベンダー pedunculata

学名 Lavandula pedunculata

別名 スパニッシュラベンダー*、フレンチラベンダー*、バタフライラベンダー*、Rosmaninho, Rosmaninho-maior(葡名)

紫色の苞葉と花穂を持ち、Lavandula luisieri と比べて花穂が楕円形なこと、花柄が長い(~24cm)ことが特徴です

抽出部位 葉、花 (全草)

主な成分 フェンコン(28%)、カンファー(ボルネオン)(27%)、α-ピネンなど

ラベンダー viridis

学名 Lavandula viridis

別名 ホワイトラベンダー、グリーンラベンダー、Rosmaninho Verde(branco) (葡名)

L.viridisはイベリア半島南西部、特にポルトガルのアレンテージョ地方とアルガルヴェ地方、またマデイラ諸島、アゾレス諸島の固有種です

他のラベンダーとは違い、淡い黄緑色の苞葉と、黄緑の花穂にある白い花がとても特徴的です

民間療法やポルトガルでは、精油を鎮静や鎮痛目的に、煎じたものをインフルエンザや頭痛、血液循環改善に使用することもあるそうです(注2)

抽出部位 葉、花 (全草)

主な成分 1,8シネオール(50%)、カンファー(10%)、α-ピネン、リナロール など

ジュニパー turbinata

学名 Juniperus turbinata

別名 Zimbro(葡名)

Juniperus(ビャクシン属)はヒノキ科に属する低木で、約75種あります

Juniperus turbinata (以前はJ.phoenieaの亜種として分類されていた)は、地中海やアラビア半島の沿岸部、北アフリカの山間部(~800m)に自生しており、グアディアナ渓谷自然公園でも渓谷の川岸にほど近い急斜面でみることができます

高さは約8mまで育ちます

一般的なジュニパー精油は、Juniperus communisという種のベリー(球果)を抽出した精油がよく知られています

D’Alenguadianaのジュニパー精油は、Juniperus turbinataの葉や枝を抽出したもので、サイプレスに似た針葉樹林の爽やかな香りを連想させます

抽出部位 葉、枝および球果

主な成分 α-ピネン(55%)、δ-カレン(10%)、酢酸テルペニル、β-ミルセン、α-フェランドレン など

ローズマリー

学名 Rosmarinus officinalis

別名 Alecrim(葡語)

Rosmarinus officinalisはシソ科に属する地中海沿岸地域が原産の常緑低木で、針葉樹のような葉をもち、紫・青・ピンクや白の花を咲かせます

EUではロースマリーの抽出物を、食品保存の抗酸化物質として承認しています(注3)

ローズマリーは同じ種でも生育環境によって含まれる成分が変わりやすことが知られており、D’Alenguadianaのローズマリー精油はカンファーやミルセンを多く含む傾向にあります

抽出部位  葉 (全草)

主な成分 カンファー(20%)、β-ミルセン(20%)、1.8-シネオール(13%)、ボルネオール、α-ピネン など

ユーカリ グロブルス

学名 Eucalyptus globulus

別名 Tasmanian blue gum, Eucalipto(葡名) 

フトモモ科のEucalyptus(ユーカリ属)はそのほどんどがオーストラリア原産で700種以上が世界中に分布しています

主に木材や燃料、パルプ製品、さらに精油など、幅広い用途が知られています

ポルトガルには19世紀半ばまでに持ち込まれ、公園や庭園に植えられました。今ではコルク樫、マツ(Pinus pinaster Aiton)に次ぐ、三番目に代表的な森林の木となっています

ポルトガルは14世紀の終わりから製紙業が発展し、ユーカリから化学パルプを製造した最初の国だそうです

摘みたてや乾燥させた葉はハーブとして売られており、ポルトガルでは昔からさまざまな症状に使われてきました

D’AlenguadianaではE.globulus とE.radiata の二種類の精油を抽出しています

シネオールは別名ユーカリプトールと呼ばれるほどユーカリの代表的な香りで、爽やかですっきりとした香りが特徴的です

抽出部位 葉

主な成分 1,8-シネオール、α-ピネン、リモネン など

ユーカリ ラディアータ

学名 Eucalyptus radiata

別名 Eucalipto(葡名) 

ユーカリ属の一種であるE.radiataは、E.globulusよりもシネオールの含量が少なく、すっきりとした穏やかな優しい香りが特徴です

抽出部位 葉

マートル

学名 Myrtus communis 

別名 銀梅花、Murta(葡名) Myrte(仏名)、true mytle(英名)

Myrtus communisはフトモモ科のMyrtus(ギンバイカ属)で、地中海沿岸地域原産の常緑低木です

乾燥に強く、ポルトガルでは中央~南部を中心に自生しています

葉は非常に香りがいいので、化粧品や香水の原料として使用されており、コルシカ(フランス)では、マートルをワインに漬け込んだり、ビネガー、ジャムなども作られています

可愛らしい白い花は結婚式にも使われ、祝いの木と呼ばれているそうです

D’Alenguadianaのマートル精油はシネオールを中心とした酢酸ミルテニルを含むタイプで、ユーカリに似たすっきりとした優しい香りが特徴です

抽出部位 葉、花

主な成分 1,8-シネオール(46%)、酢酸ミルテニル (21%)、α-ピネン、酢酸ゲラニル  ほか

フェンネル

学名 Foeniculum vulgare

別名 Fennel(英名)、Funcho(葡名)、ウイキョウ(和名)

セリ科のFoeniculum(ウイキョウ属)で、地中海地域原産の多年草です

1.5-2mの高さにまで成長し、夏には直立した茎(枝)先に黄色い小花を多数咲かせます

古くから食用や薬用に広く使われてきたハーブで、現在でもヨーロッパをはじめ、インドや中国、日本でも栽培され、漢方の原料にも含まれています

フェンネルの精油は果実(種子)を抽出したものもありますが、D’Alenguadianaの精油は、茎や葉、花を丸ごと抽出しています

抽出部位 葉、茎および花

主な成分 アネトール(25%)、リモネン(18%)、α-フェランドレン(15%)、α-ピネン、フェンコン、エストラゴールなど

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ペニーロイヤル

学名 Mentha pulegium

別名  European pennyroyal、 Poejo(葡語)、メグサハッカ(和名)

ペニーロイヤルはシソ科のMentha(ハッカ属)の一種で、欧州から西アジア原産です

芳香植物であるため、精油やドライハーブは伝統的に医療現場やアロマセラピー、料理用ハーブや化粧品の原料として使用されてきました

抽出部位 葉、茎および花 (全草)

主な成分 プレゴン(78%)、メントン(13%)  ほか

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ルー
学名 Ruta montana
別名 ルタ、Mountain Rue、Arruda(葡名) 
 
ミカン科のRuta(ヘンルーダ属)は、地中海地域原産で、ポルトガルには3種が自生していますよく知られているRuta属は、Ruta graveolens (コモンルー)で、独特の香りが虫や猫を寄せ付けないことから”猫寄らず”とも呼ばれていますD’alenguadianaの精油になるRuta montanaも独特の香りを放ちます光毒性があるため、精油の使用に関しては専門的な知識を十分備えてご使用ください
 
抽出部位 葉、花 (全草)
 
主な成分 2-ウンデカノン(89%)、2-ノナノン、2-デカノン ほか 

D’Alenguadianaの精油は100%野生種から抽出しているため、採取場所やその年の気候によって植物の状態、成分割合も変化します

ラベンダーの別名について*

L.luisieriとL.pedunculataは見た目がよく似ていることから区別されていないことがあり、どちらもL.stoechasとしてフレンチラベンダーやスパニッシュラベンダーと表記されている場合が多くあります

参考文献

(注1) Novais MH, Santos I, Mendes S, Pinto-Gomes C. Studies on pharmaceutical ethnobotany in Arrabida Natural Park (Portugal). J Ethnopharmacol 2004;93:183–95

(注2) Vairinhos JA. Género Lavandula L.: Usos, tradições e estudos de espécies Portuguesas [Uses, traditions and studies of Portuguese species]. Master thesis, Universidade do Algarve, Faro, Portugal, 2017.

(注3) http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32016R0056&from=EN  (2022年7月現在有効なリンク)